引き分け廃止反対案

以下の7つの根拠により、引き分け廃止に反対します。

1.微妙な判定は必ず生じる。

 膠着のない試合でも、微妙な判定が結果的に生じることは
起こり得ることです。
 つまり、選手のモチベーションに関わらず、微妙な判定には
成り得るのです。


2.微妙な判定ほど、ジャッジの主観が入る。

 たとえ判定の基準がはっきりしていても、手数や有効打や
ポジションなどに大差が出なければ、判定結果はジャッジの
印象に大きく左右されてしまいます。
 つまり、アグレッシブな試合内容でも、主観的な納得の
いかない判定が生じ得るのです。


3.判定基準が明確でも、つまらない試合は生じる。

 できるだけ主観が入らないように判定基準をより明確にした
としても、その判定に合ったポイント稼ぎをするような選手が
いれば、試合はアグレッシブにはならなくなります。
 つまり、引き分けをなくすような判定基準にしても、
つまらない試合は生じ得るのです。


4.引き分けをなくしても、膠着はなくならない。

 例えば、マーク・ケアーVSエンセン井上戦のように、
途中で判定勝ちが見込めれば、その後に膠着しても勝つことが
できます。
 つまり、引き分けをなくしても、膠着防止には全くならない
のです。


5 完全に客観的な判定は原理的に無理である。

 打・投・極、次元が違う3種類の技術を単純比較して、
判定で勝敗を決めることはできません。

 例えば、安田VS佐竹戦の試合は、ドローが妥当だと思います。
 安田は佐竹から1回しかテイクダウンを奪えず、ゴングの影響で
ダメージを与えれませんでした。安田の有効な攻撃は膝蹴りのみです。
 逆に佐竹は安田に打撃を当てたが、決定的なダメージを与えれま
せんでした。
 この2つは量的ではなく、質的な違いによるものであり、比較
不可能です。

 例えば、2度目のボブチャンチンVSケアー戦の2R終了時の
ドロー裁定は妥当だと思います。
 ケアーが上になったが攻撃できなかったことと、ボブチャンチン
が下になって攻撃を防ぎ、細かくパンチを当てるのを単純比較でき
ないからです。
 もし引き分けなしで、上になったケアーが勝ちになるようならば、
タックルして膠着すれば勝てるということになってしまいます。


6.被害に遭うのは選手とファンである。

 納得のいかない判定結果は、選手の努力を無駄にすることに
なります。同時に選手を応援しているファンも、すっきりしない
ことになります。
 たとえ応援している選手が勝っても、勝負論の見地からすれば、
曖昧な勝敗の決定は納得がいきません。
 つまり、選手の努力が勝敗結果に正しく反映されないのです。


7.無敗幻想は必要である。

 無敗幻想は興行論の見地から必要なことです。実際に無敗同士の
対決は非常に盛り上がります。
 それを、微妙な判定による敗戦で崩壊させるのはおかしいです。
 つまり、主催者の見地からしても、引き分け廃止はマイナスと
なるのです。


結論

 引き分けは、廃止すべきでない。
 ブレイクや禁止技の解禁によって、膠着試合は防止できるので
あって、デメリットの大きい引き分け廃止をわざわざ導入する
必要はない。