PRIDE改造論 第2号(2002年1月)

(1)PRIDE(or猪木軍)VSK−1での判定

 K−1VSPRIDEに限らず、判定をなくすと負けている方が
守りに入って、つまらない試合になる可能性が出てきます。
 特にPRIDE17でのミルコVS高田戦のようなブーイングの荒らしに
なる試合は決してあってはいけません。プロの興行として失格です。

 また、桜庭VSホイラー戦のように、タップしなければ判定なしで
引き分けに持ち込める試合も出てきてしまいます。
 判定なしでは、レフェリーが止めなければ、腕を折らなければ勝利
できなくなります。

 よって、ラウンド無制限でない限りは、判定は必要です。

 ただし、マストシステムをなくさないと、接戦で無理矢理勝敗を
決めることになるので、どっちもどっちですが・・。


(2)両者スタンドから、猪木−アリ状態への移行について

 両者スタンドにもかかわらず、自分から寝転んで膠着状態を
招いた場合は、注意の対象とすべきです。
 現行のルールのままでも、以下に当てはまるはずです。

第9条 (11)試合中、相手に対しダメージを与えると認められない
      無気力な攻撃、および膠着を誘発する動き

 高田選手やビクトー選手のように足を負傷して、タオルを投入しないで、
残り時間のほとんどを寝転がっているなんて、実にバカバカしいことです。
 すでに闘いを放棄し、勝ちにいく気のない選手は、さっさと注意3で
失格にすべきです。


(3)判定基準について−−ポジションとダメージ

 PRIDE17のヘンダーソンVSニンジャ戦は、2−1の判定で
ヘンダーソンの勝ちでした。この判定は妥当だと思いますが、
1名ニンジャの勝利としているのは、どうかと思います。

 1・2Rはニンジャが投げとグラウンドで明らかに有利でしたが、
ヘンダーソンの守りが堅く、大きなダメージを与えることができませんでした。
 3Rでは打撃でヘンダーソンが優位で、結局これらのどちらに重きを
おくかということになります。 

 確かに、全体的な印象では、ニンジャが有利だったと思います。
 しかし、PRIDEは柔術でもコンバットレスリングでもありません。
いかに有利なポジションをとっても、相手にダメージを与えられなければ、
それはあまり意味がありません。
 つまり、ポジションよりもダメージや有効打を優先すべきだという
ことです。もし、ダメージや有効打が互角であれば、ポジションで判断すべきです。

 ニンジャは「スタミナがなくなっていたが、パンチは効いていなかった。」
と試合後に語っていますが、言いかえれば1・2Rの攻防により、
ヘンダーソンはスタミナでニンジャに対し、優位に立っていたということ
であり、やはり判定は妥当だといえます。


(4)小川選手のDSE不信について

 小川選手がPRIDEに参戦する時の条件は、ヒクソン戦と高田戦
だったはずです。
 3試合契約で、初戦はグッドリッジと闘ったにも関わらず、ヒクソン戦は
「実績がない」という理由で断られたという話を聞きました。
 ここから、小川選手のDSE不信が始まりました。

 約束を破られたにも関わらず、小川選手は佐竹戦を終え、それまで
小川選手を無視していた高田選手からの指名で、高田戦をするはずでした。

 それにも関わらず、高田選手は直前になって、噂されていた小川VS
藤田戦に不満を抱いたり、PRIDEVSK−1の試合が行われることに
クレームをつけたりし、挙句の果てには自らがミルコと闘うと言い出す
始末です。
 そして、散々小川ファンをがっかりさせておいて、ミルコとの試合で
あんな最低な試合を見せられてはたまりません。

 確かに高田選手からPRIDE撤退やUFC参戦を匂わす発言を
されては、看板選手である桜庭選手が必要なPRIDEにとって
言うことを聞かざる終えないでしょう。本当にやる事が汚いです。

 しかし、DSEもこれと同じようなことをしてきました。
 小川選手参戦時の約束を、契約にないからといって平気で破り、
実績がないと馬鹿にし、利用するだけ利用し、一方的に高田戦を延期です。
 小川選手がDSEに不信を抱くには、当然のことです。

 以前にDSE社長が「払うものは払っている」というような発言を
していた記憶がありますが、お金の問題でなく、信頼関係の問題だと
いうことが分からないのでしょうか?
 ファイターはお金さえ積めば闘うとでも思っているのでしょうか?
 そういう考えが、危険を冒してでもリングで闘っている選手を
最大限に馬鹿にした発想です。
 ファイトマネーは少なくとも、自分の格闘技、自分の団体、自分の
ファイトにプライドを持って闘っている選手はたくさんいるでしょう。

 しかも小川選手は、アントニオ猪木氏が「世界一の格闘家」と評する
逸材であり、他のプロレスラーとは格が違います。
 腕を負傷していて、グッドリッジ戦を渋っていたにも関わらず、
DSEのスタッフにお願いされて闘い、ダメージなしで完勝して
しまいました。
 なぜその時点で小川選手の実力を見抜けなかったのでしょうか?
 いかに桜庭選手や藤田選手が強いといっても、小川選手は別格として
扱わなければなりません。

 以前にアントニオ猪木公式ページで、2度チャットが行われました。
そこであるファンが「日本人で一番強いのは誰だと思いますか?」と
質問しました。そこで猪木氏は、「小川だと思う」と答えました。
 猪木氏がこれほど評価し、石井氏が大金を出してでも出場を希望する
逸材です。
 しかし、猪木祭の冠のついている大会にも関わらず、DSE主催の
ため、8000万円でも出場を断るほど、小川選手はDSEを嫌って
います。
 小川選手はお金が欲しいのでしょうか?
 もしそうなら、8000万円でも出場するはずです。しかし、それを
蹴りました。それは、守らねばならないプライドがあるからです。
 小川選手の中には大きな”プライド”はあっても、”PRIDE”は
ないのでしょう。

 PRIDEは、大きな逸材を失いました。
 小川選手とPRIDEのトップ選手との闘いがこのまま実現しない
まま、歴史を終わらせてもいいのでしょうか?
 これは、格闘技・プロレス史に関わる大失態です。

 日本人選手が連敗中で、しかも某選手が寝転んでつまらない試合を
連発している今、PRIDE人気が果たしてどこまで続くかは疑問です。
 K−1のように外国人スター選手が多くいるわけではありません。
 アーツやバンナの知名度に比べて、3試合で危なげなく1人勝ち状態に
してしまったノゲイラがどれだけ世間に知れ渡っているというので
しょうか? 未だに最強といえば、ヒクソンの方が有名でしょう。

 この状態を打開するには、誰が必要なのかは火を見るより明らか
でしょう。
 このままビジネスライクに選手を商品のように扱い、ただお金を積み
上げるのか、選手を人間として、プライドをもって闘ってきたファイター
としてで接するのか、この選択がPRIDEの未来を決めることでしょう。